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陵平は押し入れの箪笥を引き出すと、あらゆる書類やノートを持ち出して床に置いた。
「火事でほとんどのものが燃えてなくなった。 でも、こうやって残ってるものもある」
そう言いながら、ひとつずつ探し始めた。
燃えかけて濡れた痕跡が残る本が9冊ある。その一つには数枚の写真が挟まっていた。
「この本は母さんのものだ。
両親が若い頃の写真が何枚かあるのは知ってる。
でも、父さんの私物がほとんどないのはどうしてだろう?
考えてみたら、父さんのものが全くないって不自然だ」
私に写真を一枚ずつ見せながら、陵平は考え込んだ。
私は写真をじっくりと見つめる。若い。20歳ぐらいだろうか。
男女が二人並んで映っている。
どちらも不良っぽい派手なアクセサリーを身につけ、母親は長い金髪と大きなピアスと鋭い目つきの美人だった。
なにより、陵平そっくりだ。私はつい微笑んだ。
「美人だな。お前、お母さんに似たんだな。
そういえば、祖父さんもこんな目をしているよね」
そう言って、次の写真に目を移した時だ。
小さな赤ん坊を抱く女性の顔が酷く歪んでいる。
吃驚したが、それには理由があった。
ぐわぁぁぁんという金属音のような耳鳴りがしたかと思うと、急に真っ暗になった。
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