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「としきが生きてる?」
「彼のことを知っているのかね?」
「・・・はい。この子の・・・父親です」
「そうか。じゃ、明日にも会えるだろう。彼はこの病院にいるよ。
意識はあるにはあるけど・・・、酷い怪我をしていてしゃべれないようなんだ。
両手両足ともに骨折していて・・・。
惨いことをできたもんだよ、まったく。
でも。なぜだ?
なぜ君たちだけが助かったんだ?
なぜ他の連中は殺されたんだろう?
君は何か見たんじゃないか?」
「・・・え・・・殺された・・・そんな、まさか・・・」
「落ち着いて、今夜はもう休んだ方が良い。悪かったよ。私はまた明日出直してくるから。
じゃ、看護師さんお願いします」
刑事はそう言うと、背中を向けて部屋から出て行った。
「大丈夫?あなたの手は血なんかついてなかったわ」
看護師がそう言うと、うっすらと笑みを浮かべながら部屋を出て行った。
一人の静寂の中で、ふと視線を感じた気がした方に目を向けると、そこにあの黒くて長い蛇が窓の外を這い上がっていくのが視えた。
「まどか」
飛び起きた。
陵平の顔がそばにある。
そうだ、私はまたトリップしていたのか。
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