第8章 真実の記憶

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「大丈夫? 悪夢にうなされてるみたいだったけど・・・」 私はつい陵平に抱き着いた。 いつものTシャツの香りと、陵平の汗のにおいが気分を落ち着かせてくれる。 体がガタガタと震えていた。 「まどか・・・」 陵平が私の体を抱きしめてくれた。 今視てきたありのままを話すこと以外考えられなかった。 これが正しいことなのか、よくわからない。 でも、陵平の両親に関わる過去に起きた事なら、陵平は知る権利があるように思える。 時折、説明に苦労しながらもなんとか伝え終わった。 陵平はお母さんの写真を指先で撫でながら、まるで小さな子供のように泣いた。これまでずっとその存在さえも思い出さないまま過ごしてきたのだろう。そうでもしなければ、今ここにいない理由をどうしようもなく悪い方へ考えてしまう。哀しいことばかりを想像してしまう。 その気持ちはよくわかる。 私も同じだから。 私は夢で見たことを整理したくなり、ビョンデットを呼んだ。 するとすぐ目の前に現れた。 嗚咽をあげてむせび泣く少年を見下ろしながら、背の高いビョンは哀し気な目をこちらに向ける。
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