38人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・・・・っ」
携帯電話に触れそうな手。
その手を・・・・・・引いた。
この携帯電話の中の画像を消せば自由になれる。
藤原に抱かれることもなくなる。
それは十分にわかっていた。
それなのに、俺は・・・
「何してるんですか?」
突然ドアが開き、全裸の藤原が姿を現す。
心臓が一気に縮まった気がした。
「俺の携帯・・・もしかして、画像消すつもりでした?」
真面目な顔で、真面目な声で、藤原は俺を責める。
その瞬間、俺はあることを思いついた。
この状況を利用すればいいんだ、と。
「・・・つもり、ではなく、消しましたよ」
「え?」
「これでもう、私があなたに弄ばれる理由はなくなりました」
勝ち誇ったように藤原を見つめる。
藤原は唖然としていた。
「そもそも、どうして私があなたを家に連れてきたのか、疑問に思わなかったのですか?」
「・・・・・・まさか」
「そう、あなたをこの家に連れてきたこと、いや、Kビルに行ったのだって、あなたの携帯電話が目的だったんですよ」
俺は感情で動いたんじゃない。
画像を消すために動いたんだ。
これが、真実だ。
「というわけで、金輪際化学準備室に来ないでください。
最初のコメントを投稿しよう!