愛して、先生 lack of skill

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時計を見る。 午後9時になろうとしていた。 職員室には俺と数人の教師しか残っていない。 そこへ保健体育の大門先生が入室してきた。 「あれ?堀江先生、まだ残ってたんだ」 「ええ、試験対策用の問題を作っているので」 「そっかそっか、年明けに試験あるもんな」 大門先生は席に戻り、帰り支度をしている。 すると、磐木先生が職員室へ戻ってきた。 「あれ、大門先生まだいたんですか?」 「大会が近いからな。そういう磐木は?」 「堀江先生と同じ、テスト問題の作成ですよ。今、夜食を買ってきたんです」 「ってことは、もう一頑張りするってことか」 「はい。数学は点数が取れないらしくて・・・お互い大変ですよね、堀江先生」 「そうですね」 磐木先生が苦笑する。 国語や社会は暗記力にかかっているが、 数学や化学はそういうわけにもいかない。 数学は数式を理解していなければならないし、 化学も化学式に加え、物質の特徴や構造を理解していなくてはならない。 「あれ?でも、藤原はいないんだな」 大門先生の言葉に、 思わず手を止めてしまった。 「あいつは数Ⅰ・数Aですからね。それに今日は予定があるらしいですよ」     
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