愛して、先生 lack of skill

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ようやく終わった。 パソコンをシャットダウンさせると、磐木先生が俺の方を見る。 「あ、終わりました?堀江先生」 「なんとか。磐木先生は?」 「まだだけど、終電逃すとやばいんで、今日はここまでにします」 終電? ふと時計を見る。 11時を過ぎていた。 「堀江先生も電車ですよね?傘、持ってます?」 「はい」 「本当ですか?じゃあご一緒させてください。俺、こんなに雪降ってんのに傘持ってなくて」 「そうですか。私は構いませんよ」 「助かります」 窓の外を見ると、 雪はまだ降り続いていた。 磐木先生と一緒に戸締りを確認する。 明日、藤原に何を言われるだろうか。 行かなかったことを咎められるだろうか。 それとも、何事もなかったかのように話しかけられるだろうか。 もしくは、化学準備室で・・・ 警備員に帰ることを伝え、外に出る。 そこは、真っ白い雪で埋め尽くされていた。 「うわーすごい雪。滑らないように気をつけないといけませんね」 「そうですね」 俺は傘を広げ、磐木先生が入っていることを確認し、 駅に向かって歩き出した。
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