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「でもこれ、何十個あると思ってるんですか?なんじゅ・・・・・・」
騒いでいた藤原の声が止まる。
ようやく気づいたのだろう。
机の近くに置いてあるダンボールに。
「ほ、堀江先生、これ・・・」
「ようやく気づきましたか」
「こんなにたくさん貰ったんですか?俺よりも多い・・・」
「貰った、というのは語弊があります」
「え?」
校内で、女子生徒が男子生徒にチョコレートを渡す場面を何度も見た。
校則で禁止しているわけでもないので、
特に注意することはなかった。
おそらく、俺の知らないどこかで
藤原は直接、女子生徒からチョコレートを貰ったのだろう。
あの紙袋の中の数だけ。
それに対し、俺は4個しか貰ってはいない。
直接手渡しで、という意味ではl。
「化学実験室に戻ってきたら、それらが置いてありました」
「いやでも、ここに置くってことは、確実に堀江先生への贈り物ですよ。
みんな、直接渡す勇気がなかっただけだと思いますけど」
そう言いながら、藤原はダンボールの中を物色し始める。
「後で保健室行きましょうか」
「なぜです?」
「さすがにこの量は食べ切れませんから、望月先生にもお裾分けした方が――」
「何を言ってるんですか」
冷たく言い放つと、藤原が不思議そうな顔をして俺を見る。
自分の失言に気がついていないようだ。
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