愛して、先生 ~壊れた欠片

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「あなたは人から貰ったものを、他の人に贈るんですか?」 「でも、こんなにたくさん食べられないでしょ?」 「食べます」 「え、堀江先生、これ全部食べるんですか?」 「私宛にいただいたものを私が食すのは、当然です」 「・・・そっか」 ふっ、と、 藤原が優しく微笑んだ。 そしてその目で、俺を見つめる。 「・・・なにか?」 「いえいえ、堀江先生は生徒思いの素晴らしい先生ですもんね」 「別に、そういうわけではありません」 「はいはい」 藤原は笑顔で物色を続ける。 何を言っているんだ、こいつは。 生徒云々ではなく、当然のことを言ったまでだ。 こいつが言う、「生徒思いの素晴らしい先生」は もう、ここにはいないのだから。 「・・・ん?」 何かに気づいたらしい藤原が、 不穏な声を漏らした。
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