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だからそれまで・・・二人では会いません」
「・・・・・・はい」
唇が、離れていく。
藤原は・・・吹っ切れたのか、笑顔を見せていた。
「もう化学準備室には行きませんし、職員室で会っても仕事の話以外はしないということで」
「・・・はい」
「あ、でも、堀江先生にとっては良いことですよね。だっていつも俺に脅されて嫌々会っていたんですから」
・・・こいつは、バカだ。
なぜ、笑いながらそんなことを言う。
笑顔で離れれば、
俺の気持ちが軽くなるとでも思っているのか。
お前の気遣いなんて、こっちはお見通しだ。
「じゃあそろそろ俺、帰りますね。望月先生、ご協力ありがとうございました」
「いいえ。こちらこそ、叩いてしまってごめんなさい」
「いいえ全然。おかげで、目が覚めました」
藤原が、カーテンに手をかける。
「さようなら、堀江先生」
ドアの開閉音が聞こえても、
俺はその場を動くことができなかった。
「驚いた。あなたと藤原先生って、そういう関係だったのね」
笑いながら、望月先生が言う。
「・・・・・・違います」
「そう?」
「俺は、藤原なんて・・・・・・好きじゃない」
好きになんて、ならない。
だってもし好きになって、あいつに裏切られたとしたら
俺は今度こそ、壊れてしまうから。
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