愛して、先生 ~壊れた欠片

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「なにか?」 「い、いいえ、なんでも」 藤原が、手に持っていたものを素早く隠す。 怪しい。 「藤原先生、今隠したものを出してください」 「え?べ、別になにも」 「出してください」 「・・・なんでもありませんって」 威圧的に迫っても、藤原は怯まない。 そんなにも気に入るチョコレートがあったのだろうか。 それにしても、俺に許可なく持っていこうとするとは・・・ しかし、そのチョコレートは俺が貰ったものだ。 ・・・渡すわけにはいかない! 「えっ!?」 座り込んでいた藤原に飛びつく。 「うわ!」 突然のことに驚いた藤原は、その場にしりもちをついた。 手からチョコレートが離れる。 「っ!」 俺は藤原の上に乗りながら、 チョコレート目掛けて左手を伸ばした。 「よし」 チョコレートの箱を掴み、近づける。 しかし近づくにつれ、違和感に気づきはじめた。 チョコレートにしては、箱のパッケージが・・・おかしい。 「堀江先生、まじまじと見ない方が・・・」 藤原の困ったような一声と、 箱に書かれた「うすい」という言葉で それが何か察しがついた。 ――いわゆる、避妊具だ。 どうして、こんなものが・・・ 「そ、そうだ!」 藤原が俺の手から箱を取り上げる。     
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