愛して、先生 ~壊れた欠片

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深夜。 帰宅し、風呂を沸かす。 「・・・・・・」 水曜日。 あれから、5日が経った。 そのうち土日は学校が休みなので、会わないのは当然だった。 が、月曜からずっと、藤原とは話していなかった。 職員室で見かけても、お互いに目もあわせなかったし、 俺は可能な限り化学準備室に篭った。 これでいい。 これが、俺たちが出した答えだ。 宇佐美のことが片付くまで、 会ってはいけない。 ただ、なぜだかわからないが、 化学準備室にいるとずっと・・・あいつの顔が浮かぶ。 『堀江先生』 『チョコレート、生徒からもらったんです。一緒に食べましょう』 『じゃあ俺も残ります。まだ一緒にいたいから』 戸を開けて、あいつが入ってくるんじゃないかと思ってしまう。 会わないと決めたはずなのに。 ・・・いったい、こんな日々は いつまで続くのだろうか。 「・・・ん?」 考え事をしていると、 携帯電話の振動音が聞こえた。 急いでポケットを探る。 「――っ!」 相手は・・・藤原だった。 俺は、どうすればいい? 確かに、電話で話すことは禁じられていない。 だが先日、宇佐美は、俺と藤原が電話で話したことを知り、激高した。 俺一人の如何わしい動画を撮ろうとした。     
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