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鍵のかかった、化学準備室。
入り口からは見えない、机の上。
そこで息を潜め・・・足を開く。
目の前の男に、触れさせるために。
「あれ、堀江先生ひょっとして、緊張・・・してます?」
「・・・あなたがそう思うのなら、そうかもしれませんね」
「ふふ、やっぱり。そうですよね、ゴム使うの初めてですからね」
藤原は楽しそうに、俺のものにそれを被せる。
根元まで引っ張り、笑顔で俺を見上げた。
「準備オッケーです。痛さとかあります?」
「と、特には、ありません」
「よかった、じゃあ少し待っていてくださいね。俺も着けるんで」
藤原がズボンを下ろし、咥えていた避妊具の封を切る。
慣れた手つきで装着していく。
俺はその様子を見つめながら、
頭ではまったく違うことを考えていた。
これを俺に贈ったのは、誰なのか。
藤原のこじつけるとおり、本当に悪意のない贈り物だったとしたら、
その意図はいったい何なのか。
そして、悪意がある・・・嫌がらせだった場合。
なぜ避妊具を贈るという手段をとったのか。
そもそも、これを贈ったのは生徒なのか。
生徒だとしたら、男女どちらなのだろうか。
どうして俺に・・・贈ったのか。
「堀江先生」
「え――ああ・・・っく」
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