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化学準備室に鳴り響いた電子音。
その場にいた生徒二人が振り向いた。
表示された画面を見て、
俺は二人に命じる。
「中田さん、近藤くん、友人からの電話なので席を外していただけますか」
「わかりました」
素直に出て行く二人を見送ってから、
俺は通話ボタンを押す。
「はい」
『お疲れ様です、堀江先生』
「・・・お疲れ様です」
電話の相手は友人ではない。
藤原だった。
こうして、藤原と電話で話すようになってから、
かれこれ1週間が経とうとしている。
では、なぜ直接会わないのか。
会わないのではない。
会えないからだ。
『まだいるんですよね。今日は誰ですか?』
「中田さんと近藤くんです」
『そうですか。あーあ、いつになったら終わるんだろう』
「・・・あなたがそれを言いますか」
『だって、予想外なんですもん。生徒たちが宇佐美から堀江先生を守ってくれるのはありがたいけど、
まさか俺まで会いにいけなくなるなんて』
宇佐美とのあの一件から、
生徒たちは、交代で化学準備室に来ることになったらしい。
宇佐美から俺を守るために。
しかし、生徒たちがずっと俺の側にいるということは、
同時に藤原も俺に近づけなくなる。
以前していたような行為は、
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