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『その花見は、もう一人増えても構いませんか?』
返ってきたのは嬉しそうな声。
ようやく理解したようだ。
「・・・ひとりだけなら、構いません」
『ありがとうございます!じゃあそろそろ切りますね』
「はい」
『では堀江先生・・・また明日』
通話が切れる。
しかし俺は、耳から携帯電話を離さなかった。
生徒たちも俺が電話していると思い、入って来ない。
なぜ、こんな真似をしているのか。
それは、今入ってこられたら困るからだ。
こんなにも心が躍っていて、
こんなにも心臓が高鳴っている。
顔だって、目じりが下がって口角が上がっているに違いない。
クールな化学教師の顔なんて、できない。
全部、藤原のせいだ。
今度は俺が、あいつに変えられてしまったんだ。
人形ではなく、
堀江一貴という・・・一人の男に。
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