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愛して、先生 ~解けた欠片
「どうぞ」
「ありがとうございます」
保健室。
望月先生が熱いコーヒーを淹れてくださった。
お言葉に甘え、口をつける。
「で、どうなの?」
対面に座っていた望月先生が、
身を乗り出してきた。
胸元が少し見えそうになり、目線を上げる。
「どう、とは?」
「藤原先生と・・・あれから、二人で会っていないの?」
「・・・ええ、もちろん」
バレンタインデーの日。
生徒から貰ったチョコレートの箱の山の中に、
ひとつだけ避妊具が入っていた。
誰かの嫌がらせかと不安になる俺に対して、
藤原は、これもプレゼントだと前向きに捉えた。
それが、宇佐美の罠だと気づかずに。
そして、その避妊具を使用した場面を
宇佐美に撮られてしまった。
『これ以上・・・藤原先生に近づかないでください』
俺は、宇佐美の要求を呑むしかなかった。
でなければ、画像を公開されてしまうから。
宇佐美の名前を伏せ、このことを藤原に話したのが、およそ3週間前。
藤原と1度、電話で話をしたが、それ以降は話もしていなかった。
電話だけならいいと思うかもしれない。
だが、万が一履歴を見られでもしたら、取り返しの付かないことになる。
そして・・・
話してしまえばおそらく、我慢がきかなくなる。
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