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今日もぼくは、海とみまがうほどの水平線にしずみゆく夕日をぼんやりとながめていた。
ユーヴェラプタル川は、そのヒガンが見えぬほど大きな川だけれど、ぼくは夕日のしずみゆくヒガンの国のことを想像してにっこりとほほえんだのだ。
じっさい、ぼくらススラプタンのだいの大人が丸一日全速力で丸太ぶねをこいでも、ヒガンに着くのに丸七日間はかかるらしい。
そしてぼくら子どもたちは、ヒガンに行くのを禁じられているため、まだヒガンの国がどういうところで、どんな人たちが住んでいるかはわからない。
さらに、ヒガンの国へ行く大人たちは、男の人も女の人も、必ずおよめに行ったりむこに行ったりして、もう二度とススラプタンの民の水上集落にもどっては来なかったので、じっさいにヒガンの国のすがたを見たものはこの集落にはひとりもいなかった。
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