10人が本棚に入れています
本棚に追加
あれは、ユーヴェラプタル川の主、キムクーイじゃないだろうか。
伝説によれば、キムクーイはそのきょだいなからだできょだいなうずをまきおこし、あっという間にフネをしずめさせてしまうという。
ゲータははじめ、なにが起こっているのかさっぱりわからないというようすだったが、ぼくの顔がよっぽど引きつっていたのだろう。すぐさまただごとではないということに気づき、後ろをふりかえるやいなや、ものすごい早わざで、フネに戻り、そして一気にほを上げ、オールをこいで、キムクーイとおぼしきかいぶつからにげようとした。
けれども、もうときはすでにおそし…。
伝説上の生きものとばかりおもっていたキムクーイのじっさいは、伝説よりもおそろしい能力を持っていたようだ。
キムクーイのまわりには、水面上のうずどころか、うずの上空にはサクラ色のたつまきがいつのまにか発生しており、ぼくらのフネは、どんどんとひきずりこまれていってしまっていた。
そしてぼくらがそれに対して、いっしょうけんめい無意味なていこうをしていると、とつぜんぼくらのていこうを止めに入る見知らぬ声が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!