口からこぼれおちた物語

2/6
前へ
/87ページ
次へ
 なぜなら…。 “ほしよみのヒメさま、おめしもののたもとが乱れておりまする。 …そうひとりで思いつめなさらないように。 たしかに、この乳白色のアマノハシダテノタモトガワの流れは、そのあざやかな色をすこしずつにごらせ、かつては大海のごとくみちあふれていたその水量も日に日にそのかさをへらしていき、ヒガン国にたどりつく頃には、一本のぎんいろのクモの糸のようなものをたらすのみとなっております。 しかし、このような現状は、けっしてヒメさまのほしよみのミコとしての力が足りなかったせいではないのです。 このヒガン国に、いまだかつてないさいやくがおとずれていることのしょうこなのでしょう。 …わたしのような一下女がたいそうでしゃばったことをヒメさまにもうしあげてしまい、すみません。 けれども、わたしはいつでもヒメさまの味方ですよ。 さあ、わたしどもにきれいな笑顔を見せてくださいませ。”
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加