第1章 届かない声

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ADのカットの声と共にカメラ越しに見てた君が寄って来て『先輩どうでした?』と真面目な眼差しで聞いてくる。「いいんじゃない?」私がそう言うと君はお礼を言いすぐに他のスタッフに次の指示を出しに行く。 私はカメラ越しに見る君のくしゃっとした笑顔がとても好きだ。それはいつまでも見ていられる。しかし直接話すとなるとコミュ障を炸裂して一言、二言返せるかどうかであった。 この日々が一ヶ月近く続いてたが、まもなく撮影は終わり編集の作業に入ってしまう。そうしたら私は編集は出来ないので、役割は終わり。 「今日であの笑顔見れるのも終わりか…。」独り言のように呟く。 もちろん君にも誰にも届かない。
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