王都コンコルド

39/39
3617人が本棚に入れています
本棚に追加
/1119ページ
「お前の侍従は優れた者ばかりだ」  それは、王の声。 「王の番となった者が無知な阿呆では困る。最低限の知識は身につけてもらうからな」 「はあ!?」  不遜な言い方にルピスは反感を向けた。 「ここにはジャンナを探しに来ただけだ。もう用はない。エシャと話したいならそのまま話していろ」  行くぞ、とジャンナに声をかけ、アデュラハミラは背を向けた。 「はあ!?」  ルピスの額にはビキビキと怒りが浮かんでいる。  それぞれの侍従や護衛兵は困惑し、ジェラムも初めて目の当たりにした運命の番の不和に動揺した。エシャムサタムだけが、愉快そうに「っくくく」と笑っている。 「こっちこそてめーなんぞに用はねーよ!くそったれ!さっさと消えやがれ!二度と顔見せんな!」  ついに我慢ならず、ルピスは枕を掴んで放り投げた。  その時にはアデュラハミラもジャンナも、彼に付き従う者たちも消えていた。バフン!と閉じたドアに当たり、そのまま哀しく床に落ちた。
/1119ページ

最初のコメントを投稿しよう!