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「もちろんうちのトキアも出すわ。――どう?やってみたくない?」
強者との戦いは強者となるためには避けられない。忘れていたはずの、失ったはずの血が騒いだ。
「アデュも近衛の精鋭級の力はあるわよ。小さい頃からしごかれてるからね」
「え?」
「砂漠の男よ?王族と言えど男子は剣技必修。ヨルもがんばってるわ。時間がある時にまた見てやって」
それは初耳だった。王の方は知らないが、ヨルトタミトとは頻繁に会っていたのにまるで気付かなかった。
「剣は模擬剣だから大丈夫よ。王が出れるくらいだからね」
「……模擬剣?」
「練習用の、人を殺せない剣よ。それでもルールは寸止め厳守だけど。自分を律し、制御できることもまた立派な兵士の必須条件よ。――どう?出てみない?」
ゴクッと、自分の喉から大きな音が鳴ったのをルピスは聞いた。
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