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ついに、その日が来た。
ルピスは慣れた感覚を覚えた。これが前兆だと、今までの経験からわかっていた。
「なぁ」
日課の勉強中、先生であるスタブに話しかけた。
「なんでございましょう?」
「俺を隔離してくれ」
侍従長はすぐにその意味を理解した。他の侍従たちもだ。
「その心配はございません」
「心配?」
ルピスは怪訝な顔をした。
彼は心配があって隔離してくれと言っているわけではない。それが当たり前だったからそう言ったまでのこと。夜になったら寝るのと一緒。発情期が来そうになったら隔離する。心配云々の話ではない。
「奥方さまはこの部屋にいてくだされば結構です」
「この部屋に?」
「ええ。私どもは奥方さまの症状を理解しておりませんが、あまりにもひどいようでしたらこちらで対処いたします。奥方さまが気を使われることはなにもございません」
ルピスはモゴモゴと、何か言いたいのに言えない、そんな気持ち悪そうな顔をしていた。
(――そうか、来るか)
ヒート中の妊娠確率は100%だと言われているが、外れた。
王がうなじを噛んだあの日、王は何度も番の中に白濁を放っていた。砂とそれにまみれた身体を綺麗にしたスタブは、その事実を目で確認している。
何度も何度も放たれたそれは、中からドクドクと溢れだしていた。
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