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「王!大丈夫ですか!王!!」
尋常ではない王の苦しみようを見て、グルグは顔色を変えて必死に呼びかける。もちろん彼にも甘い匂いは届いているが、こんな苦しみを覚えるものではない。
「奥方さまの所へ参られますか?」
サンバルガーがそっと優しく寄り添う。
「はあはあ……っ、いや……行か、ねぇ……」
「しかし……」
「行か、ねぇ……!うぐっ」
「王!」
自分の中に今にも暴れ出しそうな凶暴な獣がいる。それが外に出ないよう、必死で抑え込む。剥き出しの牙が「ここから出せ」と噛み、爪で引っ掻く。
(……ジャンナ)
こんな不安定な様子のジャンナを初めて見た。苦しむ主人には目もくれず、ずっと同じところをグルグルと回りながらずっと顔を左右へ振っている。
(お前も、苦しいのか……すま、ない……)
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