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「うっ!」
声が漏れた。身体を抱きかかえるようにして、そのまま寝台の上に倒れた。
たった一つしかない穴からジワジワと何かが溢れ、下着を濡らす。零れた液体が肌を撫で、ゾワッと全身の毛が逆立つ不快感が電流のように走った。
考えたいのに、考えられない。ルピスは限界寸前まで追い詰められていた。
せめて声を出さぬよう、堪える。ギュッと固く目を閉じ、口を結ぶ。爪が肉に食い込むほど拳を握り、カタカタと震える。
「!」
今まで、それはせき止められていた。バン!と乱暴な音で防いでいた壁がなくなり、洪水のように容赦なくルピスに襲いかかった。
ぐにゃっと骨が溶けて歪むようだった。グラッと揺れた。
自分の鼓動と呼吸、巡る血流に脈拍。それだけが脳を鷲掴みにして揺らすように耳に響いていた。が、自分のものではない何かが猛烈な匂いとともに触れてきた。
自分を守るように丸く固くなっていたルピスは、その衝撃で目が開いた。
「!?」
そこにいたのは、あの金色の男。匂いがだんだんひどくなっていたことから、この男が来ているのはわかっていた。
逃がさない、とでも言うかのように、ルピスの上にのしかかるように四つん這いになっている。様子が尋常ではない。顔は熱を帯び、汗をかいて髪は濡れ、額や頬、首筋に張り付いている。蛍光ブルーの瞳も熱っぽく濡れ、はあはあと息が荒い。
ゾクゾクッと体内を何かが這い上がってきた。その不快感に身体が震える。
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