発情

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「!?」  ビリビリッと音を立てて服が破かれた。あっという間に一糸まとわぬ生まれたままの姿となる。 「っな!てめぇ何しやがる!」  ルピスは殴りかかった。衝撃的な現実が反射的にルピスを動かした。が、拳が届く前にパシッと手首を掴まれ、そのまま寝台に抑えこまれた。じゃあもう片方で、と殴れば、これまた同じこと。  蹴りが発動される前に、ルピスは尻を突き出した状態でうつ伏せにさせられた。顔が乱暴に寝台に打ちつけられ、ぶほっと音が鳴った。  寝技でルピスに勝ち目はない。ララバカイン族は遊牧民であり、戦闘はまず駱駝に乗る。地に足をつけた決闘の際は「膝をつけば負け」であるため、そもそも寝技を鍛えない。婚姻前の性交渉も厳禁であるため、そういった経験もない。一方のアデュラハミラは、幼少期からありとあらゆる護身術を叩きこまれてきた。寝台においても百戦錬磨。ずぶの素人であるルピスとは勝負にならない。  力勝負ならルピスにも勝ち目があった。技や経験など関係なく、ただ力で押す。しかし、ヒート状態となったアデュラハミラは無敵状態。凶暴で乱暴な百獣の王だ。ルピスの力も抑え込み、封じ込まれる。ぐうの音も出ない。  しかも、ルピスは発情中で本調子ではない。それに当てられたアデュラハミラは凶暴性を増す、という悪循環。  うつ伏せに押さえつけられ、尻を突き出すという屈辱的な体勢。なんとか逃れようと暴れまくるが、それさえも圧倒的なパワーの前には無力。太刀打ちできない。  膝立ちの足を、無理やりガバッと大きく開けられた。そのせいで、勢いよく股から液が漏れ出た。その感覚に身体が固まった、その瞬間――
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