宝石に盗まれた盗賊

嫁取り

　外に出ると、ルピスの他にも戦士が残っていた。女子供と生命線である家畜を守るためだろう。
「……風が強いな」
　火が近く、革や毛皮が敷かれて防寒対策がとられている天幕から出ると、そこはまるで別世界。
　家族で暮らす天幕へ入った。
　四人暮らしの生活も今日でおしまい。マサメラとともに新たな天幕で暮らすことになる。
　立てかけてある弓を取った。父の弓がないのを見ると、持って行ったのだろう。
　再び外に出ると、残った戦士たちと次の手について話した。
「災難だな、ルピス。せっかくの婚儀の日に」
「神が妬いてるんじゃないか？あんな美女を嫁にするから」
「それはお前だろ？」
「うっせ！」
　仲間たちの会話にふっと笑った。
「むしろ逆だろ？神は祝ってくれてるんだ」
　勝った戦士たちが、捕虜や奪ったものと一緒に帰って来るはずだ。捕虜は売り飛ばせば金になるし、やつらの寝床を襲えば金品も手に入る。
　最高の贈り物だと思った。