本屋さんと間違われた痴女

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 阿澄は当然答えない。そこで魔女は男子生徒に何かを打ち込んで眠らせると、ギロリと目を光らせて瞳孔をぐるぐる回転させた。  そして魔女の背中から何かが伸びると、阿澄に向けて白い光が迸る。 「ん!!!」  阿澄はとっさにかわしたが、そのせいで魔女と視線が重なった。もう言い逃れはできないと体中に気を張り巡らせながら阿澄は答えた。 「私は訳あって魔女を探している探偵よ。アナタがそうなんでしょう? そこに倒れている彼とのエンコーまでは邪魔するつもりは無かったけれど、とんだ地雷ね……アナタ」  阿澄が言うようにこの魔女は普通ではなかった。薄明かりでも美人そうな雰囲気は察するが、それを台無しにするような背中から伸びる蜘蛛の足が目を引く。  足先からは先ほど放出した蜘蛛糸が垂れていて、一部の趣向の人以外は目を覆いそうなモンスター娘がそこにいた。  なまじ顔つきを含めて人間の姿の部分が美形なので余計に蜘蛛の部分が目立つ。二次元と三次元の間にあるという不気味の谷に落ちた魔女の姿に阿澄は吐き気をこらえる。 「そういうアナタもそんなナイフを持ち出して……強盗かしら」 「コレが見えると言うのなら本格的に化け物みたいね」     
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