本屋さんと間違われた痴女

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 糸はこの早さでは当てにくいだろうがここまで近づけばコレがあるとばかりに魔女は足先にクスリを仕込む。先ほど自慢していた男根麻薬、打たれたら阿澄もシャブ中になってしまう。 「噛神式───犬噛!」  阿澄は気の形をナイフから犬の口に変えると、そのまま振り向いて犬の頭を前に出し魔女の毒牙を挫いた。  阿澄の使う噛神式は気を操る武術、特殊能力の制御を大系づけたものである。本屋の主人のような規格外の力ではないが、ある程度の素質があれば身につく異能が異能探偵事務所サークルラインの一員として持つ阿澄の力だった。  能力は別として能力を使った戦いでは長年鍛えた阿澄のほうが一枚上手のようだ。犬噛で魔女の毒牙を一つ一つ噛み砕き、最後に残った人間の頭を口を大きく開けて阿澄は飲み込んだ。 「───というわけで、人魚姫の魔女は見つからなかったけれど、お尋ね者の異人症患者を捕まえたわ。バイト代、弾んでくださいね」 「そんなこと出来るわけないだろう、莫迦阿澄。こっちは急なことで大忙しだったんだぞ。もう少し段階を踏んでもらわないと、なまじアウトローなあたし達としてはマズいんだって」 「そう言われても」     
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