Dear Diary…

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診察室を出ると、待合室の椅子に腰かけた。 水曜の午後の診察はスムーズに終わる。 市内にあるこのメンタルクリニックは完全予約制。 新患でも予約をしないと診てもらえない。 このクリニックに通い始めて12年が経とうとしている。 なんの成長もしていない荒んだ心は、白衣を着たドクターに容赦なく真っ黒な言葉を吐き出す。 私だって気付いている。このままではいけない事を……。 でも、止められない……。 口から出てくる真っ黒な言葉は私の心にぎゅうぎゅうに詰まって、喉元まで溢れそうになり、息さえできなくなる。 どこかで吐き出さなければ、 苦しくて… 苦しくて…。 そのままいっそ死ねたらいいのに……。 そう思ってしまう度、赤く染まる自分にまた嫌悪感を抱くのだ。 あの日失ったものは何だったのだろう。 今でも不思議に思っている。 あの時まで私が持っていたものは何だろう…。 探しても探しても、見つけ出す事が出来ない。 拾い集めることも、貸してもらうこともできない。 私が今欲しいものは何なんだろう……。
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