250人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
晴れやかな顔をした星野さん。
なんだかんだ言ってよりを戻してきた彼女と、今度こそ別れる決心ができた理由ってなんだろう…。
気になってまた勝手に言葉が出てくる。
「なぜですか?」
「なぜ?うーん……新しい恋を見つけた…ってことじゃない?」
あたらしい恋……。
その言葉に私の心がピンク色に染まった気がした。
星野さんには世界が輝いて見えるほどの新しい恋が生まれたってことで、彼女さんと別れたのは悲しいことだけど…新たな出会いで別の楽しみを見つけられたのなら応援したいと思った。
「誰ですか?私の知ってる人ですか?」
たぶんその時の私は彼と過ごしたどの時間よりも楽しそうな顔をしていたかもしれない。
星野さんは困ったように笑いながら目じりを掻いた。
「知ってる…かな……」
どうしよう。なんかすごく楽しい。
でも、私の知っている人となるとすごく範囲が狭い…。
「碇先生……。碇先生なんですね?」
私は興奮して少し大きな声を上げてしまった。
「え?あ……そう…かな……?」
そうなんだ……。どうしよう。楽しい。
他人の恋なのに、すごく楽しい。
誰かが誰かを想う気持ちを間近で見れるというのは嬉しいものかもしれない。
これは二人を応援しなくては。
私はそう決めた。
「応援します!絶対、碇先生に気持ち伝わりますよ!もうすぐでクリスマスだし…頑張りましょう!」
星野さんの目には私のその姿が滑稽に映ったと思う。
他人の事より自分の事を考えた方がいいのでは?そう思ったかもしれない。
でも、この暗い生活を始めてから、こんなにわくわくしたのは初めてだった。
最初のコメントを投稿しよう!