シンフォニック

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シンフォニック

   きっと、こんな事柄を隣で貴方も同じように思い、考え、吟味し、そして二人の思考が折り重なり合い、交差する時、人は答えを出してしまうのでしょう。  空も風も草木も様々な音を奏でている。私も彼もその音に溶け込み一つとなる。  こんな時、彼はいつだって指揮者を気取る。  そこはまるで優しい彼の精神世界と同じような、綺麗でとても広い公園だった。  見渡す限りの人工芝は深緑色で、なだらかな起伏が連続し波打っている。地面に直に生える金属のオブジェに不思議な形のモニュメント、個性的な植物。昔は世界中から人が集まったこの場所。なのに今はもう人が寄り付かない夢の跡地だった。そんな広大な公園を私たち夫婦は、手を繋いで歩いていた。穏やかで柔らかい時間が流れている。 ーー昔のこと思い出すね。  彼は云った。確か出会ったその頃は、この公園にも人がごった返していて、交通にリニアモーターカーが轢かれ、世界各地から様々なものが集められていた。誰もが色めき立ち、それはそれは素敵な未来を皆夢見たように思う。
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