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貴方は優しいから私が今ここで泣き喚きながら謝れば私を赦すと思う。でも私は貴方を赦さない。貴方の狡くて智くて優しいところを赦さない。
私は確信している。直ぐにこの関係は逆になる。きっと一年後、私がどんなに謝っても貴方は赦してくれはしない。だって貴方は新しく手に入れたものを捨てられないのだから。
似て非なるからこそ生まれた不協和音は、この日初めて上手い具合に重なり共鳴し、共に奏でた旋律は、同じ別れという結論を導き出した。なんと皮肉で因果なシンクロニシティであろうか。
帰り道、彼の車は何の躊躇も無く、私の実家へ向かう。別々の家へ帰るのだ。咲いた花が枯れるように、これでお終いなのである。
夏が終わり、秋を過ぎ冬を迎え、そしてまた春に芽吹けるよう、私は自分の足で立ちたいと願った。車内から見上げる窓越しの夜空、幾億もの星に祈った。
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