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彼が私の異常に気づかないまま、時計の針はチクタクと軽快に進み、季節は刻一刻と移り変わる。その時の流れに身を任せ、私たち二人は結婚し、それはそれは可愛らしい子供が生まれる。
それがいけなかった。私は虐待されて育ったのだ。日がまた登り繰り返すように、こういった事象は連鎖する。この子を傷付けたくなる衝動が日に日に膨れていく。母親の遺伝子と母親から植え付けられた業を呪った。
あるとても穏やかな日のこと、まだ首も座らぬ我が子を傷付けたくなくて、私は代わりにばっさり自分の手首を切った。その後、薬をたくさん飲んで二度と目覚めぬよう深い眠りについた。結局は救急搬送され、彼が警察に事情聴取されるだけであった。
流石の彼も、事の重大さに気づいたのか、慌てて私を心療内科に通わせた。初見で大病院への紹介状が医師から手渡される。
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