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「ああ。でもこの『週刊放題』に回された。今ではそれでよかったと思ってる。なんせアクセスはあるからな。俺が学生時代ネット小説あげてても、こんなアクセスはなかった。やっぱり人間は有名人の裏の顔が好きなんだよ。クソマイナーな奴のつまらねえフィクションより、有名人のリアルな醜聞。これぞ最高のエンタメだね」
「でも結構憶測で記事書いてたりするじゃないっすか。あからさまに事実と違うこと書いてもバックれるし。それありなんすか?前から思ってたんすけど」
「お前、賢いんだから分かるだろ?事実ってのは作り出すもんなんだ。ありのままを描写することじゃない。俺たちのフィルターを通して読者に『読者が見たい事実』を提供してやるんだ、それが俺たちの使命だ。だから、本当かどうかなんてのは、実際のところどうでもいい。リアルに感じられることこそが重要なんだ。誰も真相なんか知りたくねーんだよ。そこを勘違いしてる奴がいるが。週刊誌のネタなんて、その場その場の感情をあおるだけでいいんだ。時流を読むこと、空気を読むことが何よりも大事なんだ、この仕事は!読者が求めているネタを提供する!それだけ!こんな素敵な仕事はねえよ。ははは!」
「いやーマジすげー!ほんと、先輩すげーっすね。マジ尊敬っすわ」
「おめーも頑張ってスクープつかめや。あークソ、なんか眠いなー。コーヒー飲んだのに、クソ、眠いなー。ああ、目がしょぼしょぼする」
「ああー先輩、大丈夫っすかー?目覚まして下さいよ~、下読み終わらないじゃないっすか~」
「ああー寝そう。寝ないぞ!寝ない…うーん…」
「ああ、まったくしょうがねーなー。大丈夫っすか?寝ちゃったんすか?」
「…」
「返事がない。寝ちまったんですね。まったくしょうがねーなー。うん。ほんと、しょうがねー。どうしようもねーよ、てめーは!だから死ね!おら!」
「う…う…!」
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