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 学校の近くにある市民体育館にはトレーニング室という施設があって、ランニングマシンやベンチプレスなど筋トレに必要な道具揃っている。本格的なジムのように至れり尽くせりとはいかないが、俺達みたいな素人が利用するには充分な施設だ。  何より、一度の利用で何千円と取られるジムと違って、一人一時間百円で利用出来る所が有難い。  去年、田中さんと一緒にお世話になった場所でもある。 「まずは腕立て伏せがどれくらいできるかやってみよう」 「……分かった」  学校の体操服とシューズに着替えた俺達二人は、まずはトレーニング室の隅にあるトレーニングマットスペースの一角を陣取った。  他の利用者はランニングマシンやアブドミナルクランチなんかのマシンコーナーに集中していて、俺達のいる場所はほぼ貸し切り状態だ。  とりあえず腕立て伏せから、という提案に桜木は頷くと、のろのろとトレーニングマットの上にうつ伏せになった。 「せーの! いーち!」  いち、の時点で桜木の細腕がガタガタと震えていて、おいおい大丈夫かと心配になったが、案の定、次のカウントが成功する事は無かった。  腕を曲げたまま体を持ち上げる事が出来ずに、桜木の体はパタリと倒れてしまった。  ある意味予想以上の体力だ。 「…………」 「……すいません」     
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