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 顔面偏差値が中の上程度にレベルアップした桜木には、人が寄って来るようになった。  休み時間、賑やかな教室の中で一人ぽつんと席に座って俯いていた桜木だったが、今日は、下を向いている暇など無いくらいに忙しい。  桜木が助けを求めた時はフォローに入ってやるが、沢山の人と話して経験値を積む事は、桜木を更に良い方向へと導いてくれる筈だ。 「つ……、疲れた……」  休み時間の度に色々な人と話をするのは、もしかしたら桜木にとって初めての経験なのかもしれない。  放課後、トレーニングの為に市民体育館へと向かう道中、桜木はぐったりと肩を落としていた。足取りも重そうだ。 「ははは、多分しばらくしたら桜木フィーバーも落ち着くよ」 「笑い事じゃないよ……。こんな急に、色々話し掛けられても困る」 「でも嫌じゃないだろ」 「……嫌というか、怖い。それに、みんながいると叶が無視するから嫌だ」 「無視じゃねーよ! 見守ってんの!」 「話してくれないなら同じだよ……」  どうやら俺の親心は桜木には伝わっていなかったらしい。  桜木はムスッと唇を噛み締め、俺から顔を逸らす。 「お、良いね、その顔!」
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