10人が本棚に入れています
本棚に追加
最近は色んな奴と話してるし、よく桜木に話し掛けて来る女子達の誰かだろうか?
あの子は桜木には元気すぎるな。あの子はちょっと浮気性だから心配だな。
面接官にでもなったような気分でクラスの女子を選別していくが、きっとこの子だ! と確信を持てる程の候補は見付からなかった。
いやでも、他のクラスとか、先輩後輩の可能性もあるし、俺の知らない誰かかも。あぁ、気になる!
「ねぇねぇ! 私が相談に乗ってあげようか!」
「結構です……」
桜木の目の前に身を乗り出す田中さんに対して、桜木は田中さんが近付いた分だけ後退る。
眉間に皺を寄せた桜木は俺の方に体を寄せると、小声で「早く帰りたい」と呟いた。
桜木の好きな人が田中さんで無い事は確かだな……。
俺達は田中さんに別れを告げると、シャワールームで汗を流してから体育館を後にした。
時刻は午後七時。外はもう暗くて、行き交う車のヘッドライトが眩しい。いつの間にこんなに陽が落ちるのが早くなったのだろうかと、空を仰いだ。
「桜木って田中さんの事嫌いなの」
「嫌いって言うか……、怖い」
「何で? 美人だし、社交的で明るいしいつも笑顔で良い子だよ」
「美人だし、社交的で明るくていつも笑顔で良い子だから怖い」
「なんだそりゃ……」
最初のコメントを投稿しよう!