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「それに、性格が少し叶に似てるから嫌だ……」
「えぇ? そうか?」
桜木の好き嫌いの基準は俺には理解出来そうにない。
てか、性格が俺に似てるから嫌って、遠回しに俺の性格が嫌だって言ってないか?
桜木の本音を垣間見てしまった気がして、ウッと心臓が痛くなった。
でも、桜木に積極的に話し掛けて来るような子って田中さんみたいに明るい性格の子ばっかりだから、桜木の好きな子っていうのはあのメンバー以外って事かな?
俺は周りに人影が無いのを慎重に確認してから、隣を歩く桜木との距離を縮める。
体が触れそうになるまで近付いてから、聞かれてはいけない話をするみたいに小さな声で尋ねた。
「で……、桜木の好きな人って誰……?」
「…………。叶は田中さんが好きなの」
「ふあぁっ!? な、何言ってんだよ!!」
簡単に教えてくれるとは思っていなかったが、返しが想定外過ぎて馬鹿みたいに動揺してしまった。
「クラスのみんなが言ってた」
「み、みんなって誰だよ! てか田中さん彼氏いるし……っ!」
「誰かを好きになるのに彼氏の有無は関係ないでしょ」
た、確かに、田中さんの彼氏になった自分を想像した事は、否定しない。
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