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 仲の良い奴らには、田中さんの事を好きだったんじゃないのかと今でもからかわれるが、まさかクラス中にそういう目で見られていたのかと思うと、もう転げ回りたくなるくらい恥ずかしくて、肌寒いと感じる程の気温なのにどっと汗が吹き出た。  まさか、田中さんも、俺の事をそんな風に思っているのでは?  何アイツ、私の事好きなんじゃないのキモーイとか思われていたら立ち直れない。  いや、田中さんの性格なら、何それウケる、と笑い飛ばす姿の方がしっくり来るか。それはそれで悲しいが。 「つ、付き合えたら良いなって思った事は、ある、けど、可愛い子と付き合いたいっていう下心は男の本能だし……、恋とは違うって言うか……」 「ふーん……」 「あっ、でも今はもうそんな下心無いからな! 普通の友達とか妹みたいな感じに思ってるから、俺が田中さんの事そういう目で見てたって事は誰にも言うなよ!!」 「……言わないよ、別に」  絶対に言うなよ、と念を押したかったが、いつもより桜木の声のトーンが低いせいか、暗闇に馴染んだ横顔がどこか不機嫌そうに見えて、これ以上田中さんの話題を長引かせる事が躊躇われた。 「……て、てか、俺が先に質問したのに」 「何?」 「好きな人、誰なのって」 「あぁ……」  桜木は吐息を吐き出すように声を漏らすと、ゆっくりと歩みを止めた。  それに釣られて俺も足を止め、振り返れば、近くにある青白い街灯の光に桜木の体がぼんやりと染まっていて、少し不気味だった。     
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