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せっかくの高身長も、頑張って付けた筋肉も、最大限の魅力を引き出せずに持て余している。ここに色気が加われば、きっと更に魅力的に化けてくれるに違いない。
探していた最後のピースがようやく見つかったような気がした。
「でも色気って、どうやって付けるもん……!?」
「おーぎ君は童貞なの?」
「ちょっ、ちょっと田中さん! 女の子が何言ってんの!!」
こんな可愛い子の口から飛び出す“童貞”という単語の破壊力と来たら。
桜木は困った様子で口籠もっていたが、否定されなかったから肯定だと判断したのか、田中さんはやっぱりねと頷く。
「やっぱり、色気を出す為にはエロい事をするのが一番だし、手っ取り早いと思うの。内から溢れるフェロモンって言うの? 経験者の余裕、みたいな?」
こんな美少女に、俺は一体何を熱弁されているのだろうか……。
田中さんの声が聞こえるであろう範囲に他の人が居ない事が救いだ。
「おーぎ君は、好きな人居ないの?」
「…………」
田中さんから再び直球な質問を投げ付けられて、桜木は俯く。
桜木、こういう話苦手なんだよな……。助け船を出そうとした矢先、固く閉ざされていた桜木の唇がうっすらと開いた。
「好きな人、いるけど……」
「えっ!? いんの!?!?」
叫び声に近い大声が飛び出してしまい、慌てて口を塞いだ。
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