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怪訝そうにこちらを振り返ったOL風のお姉さんに軽く頭を下げてから、桜木の方へと向き直る。
「えっ、い、いんの、桜木!? 好きな人いんの!?」
「……いる」
「何だよそれ……! もっと早く教えてくれよ……!!」
「言っても仕方無いし……、コンテストには関係ないから……」
「そ、そうだけど……」
友人として、そういう事は早く相談してほしかった……。何だか寂しい気分だ……。
「今のおーぎ君なら、告白が成功する確率高いんじゃない?」
「……無理、絶対断わられる」
「そ、そんなの言ってみなきゃ分からないだろ!? それに今のお前めちゃめちゃノッてるって! 俺が女なら絶対付き合うし!」
「……叶は、そう思ってんの?」
「もちろん! 自信持てよ!」
体育座りをして体を縮めている桜木の背中を優しく叩き、励ましの言葉を掛ける。
やっぱり見た目が良い方向に変わると、他の部分もそれに伴って成長するんだな。
まだ桜木の告白が成功した訳では無いが、まだ見ぬ彼女と楽しそうに話す桜木の姿を想像して、少し涙腺が緩んだ。
寂しいと思う気持ちもあるが、大切に育てていた雛鳥が巣立って行くかのような嬉しさの方が強い。
それにしても、いつからそんな恋心を潜めていたのか。
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