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桜木は俺の腕を引っ張ると、客席とバックルームを仕切る為に貼られた黒い布の下を潜る。
文化祭の片付けは翌日に行うので、教室の中はまだ喫茶店仕様のままだ。
生徒が使うバックルーム側の扉は今は調理器具や積み重なった段ボールで塞がれており、外からも中からも開ける事は出来ない。
誰かがもう片方の扉からこの教室に入って来たとしても、この薄っぺらい布を捲らない限りは、俺達がここにいる事には気付かれない。
俺は隅っこの床に敷かれた段ボールの上に座らされ、覆いかぶさるように桜木が抱き着いてくる。
今度は唇を合わせた瞬間から桜木の舌が口の中に押し入って来た。まるで自分のテリトリーであるかのように俺の口内で好き勝手に動き回るそれをどう扱えば良いか分からず、また噛んでしまわないよう必死に口を開けている事しか出来ない。
キスが激しくなるにつれ、桜木の体の重みが俺の体にのしかかって来て苦しい。
とうとうそれを支えている事が出来ず、絡み合うようにして床の上に倒れ込んだ。
俺を下敷きにしていた桜木がのそりと起き上がり、ようやく満足したのかと安堵したのも束の間だった。
桜木の荒い息遣いは、一向に落ち着く気配が無い。
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