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「か、確保しました! 犯人の発砲前に脅威を排除しました!」
瑛司はどうにか機嫌を取ろうと言い回しを真似る。しかし、亮一郎は視線をさらに冷たくし、
「今回は運がよかっただけです。あんな位置に立って撃たれなかったのは奇跡です」
痛いところを的確に突かれた瑛司は、思わず細い眉を八の字にする。
「だ、だって周りに人がいたし」
「あなたの射撃の腕なら襲撃者だけを狙えたのではないかと言っているんです」
「そんなのわかんねえって、あんな人混みの中だったんだ、一般人に当たったら大問題だろ!」
すると綾が亮一郎の右横に進み出た。腕を組み、亮一郎を援護射撃する。
「私の成績脅かすほど熱を入れて射撃訓練しておいて、撃ち損じるとは思えませんけど」
瑛司は余計な口を挟む綾を恨みがましく睨み付けた。
「でも、今日も加賀谷さんの体捌き冴えてたっすね! なんか、復帰してから対人格闘も前より鋭くなってるっす!」
亮一郎の左に立った横越が構えをしつつあっけらかんと割り込んできた。いいぞ、もっと言えと瑛司は懸命に視線を送る。
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