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「こ……今度こそ死ぬかと思った……っ」
犯人を取り押さえた制服警官の山の脇で、瑛司はぐったりとしゃがみこんだ。
幹事長の街頭演説の最中、人混みの中で男が拳銃を抜いた。瑛司は演説車の前から人垣へと飛び込んで、引き金を引こうとしている男の前に立ちはだかり、その腕から銃を奪った。
「だっから死ぬような無理してんじゃねえって何度言わせりゃ気が済むんだてめえは!」
羽田は狛犬のようにぎょろりとした目を剥いて、瑛司の右耳を引っ張る。
「いだだだっ! やめろ!」
「うるせえおまえが係長の話を一個も聞かねえからだ!」
「……加賀谷さん」
警官の怒鳴り声や、事件を目撃した一般人のざわめきが騒々しい耳に、氷のようにひんやりとした声が届いた。亮一郎は例のごとく無表情に、羽田と揉み合う瑛司を見据える。
「こういった場合の対応は、まず保護対象者の身の安全の確保ではありませんか」
瑛司は亮一郎の前にあわてて気を付けする。
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