第4章

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「りょ……いちろ……! りょ……っ」  亮一郎の長く太いそれが瑛司の中を出入りする。腸壁を擦り上げ、結腸の入り口を突きながら、深く瑛司の体内を愛撫する。 「ん、ふ、ふあ、あ、ああ、はあっ、あっ……」  揺さぶられ続け、次第に、抉られた中は慣れるというよりも麻痺してきて、痛みから遠くなる。亮一郎の首に腕をかけたまま、喉を反らしてヘッドボードに頭を付け、突き上げられる衝撃に漏れる自分の声を耳に聞く。自分がこんな、甘えたような声を出すことができるのが不思議だった。別人のような、でも間違いなく自分の声。今までどこに隠れていたのだろう。誰かに身を任せることのできる自分。体を預け、無防備に開き、喜びを表現する自分。そう、隠れていた。決していなかったのではなく。この瞬間のために、息をひそめてじっと耐えていたのだ。孤独を。寂しさを。悲しみを。怒りを。そして罪悪感を。  重い扉の向こうにいた、十五歳の瑛司と共に、やっと姿を現した。愛を求めることを躊躇しない、素直な自分。その存在を待ち侘びていた。自分にも出会うことができた。
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