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じんと痺れが広がって行くように、亮一郎の手によって与えられる快楽の火種は全身に散らばっていった。直接手が触れるそこだけでなく、亮一郎が繰り返し突き上げ擦り上げる内壁の圧迫感も、亮一郎の先端が直腸の奥にぶつかって内臓がせり上がる感覚も、尻の肉が亮一郎の固い腿の上で跳ねるのも、背中を支える手のひらの体温も、なにもかもがその感覚の中に快楽を溶け込ませて、瑛司の体を包み込む。そうして、
「瑛司さん……瑛司さん……っ」
名を呼び続ける亮一郎の声が頭を痺れさせ、声を聞くだけでもうっとりとする。
「はあ、あ……っりょう、りょういちろ……っ」
ぐらぐらする頭を横に傾けながら、瑛司はかろうじて視線を亮一郎に向ける。
そこに見たのは、汗の滴が流れる額に頬に乱れた髪を貼り付け、眉をひそめ、口を開けて喘いでいる亮一郎だった。その目、内側からの甘美な熱に蕩け、普段あんなに固そうに黒い瞳が、触れれば熟した果物のように柔そうに見えた。大きく喘ぐ唇は、今にも涎を垂らしそうに緩んで、愉悦に浸されているのがわかる。そんなだらしのない顔を亮一郎がするとは誰も思わないに違いなかった。
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