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亮一郎は驚いたように少し身を離し、瑛司の顔を見る。
瑛司は三白眼をまるで無垢な子供のように潤ませて、亮一郎を見返す。自分が亮一郎の存在に大きく変えられたように、亮一郎を変えることができるのではないかと、思ったわけではなかった。ただ単に、笑えばきっと可愛いだろうと思ったのが口から出ただけだった。
亮一郎はひどく戸惑い、心許なさそうに視線を揺らした。
それでも、眉を寄せ、眉根と、唇を震わせた。作り物のような端正な形の唇の両端を持ち上げようとする。無理やりに顔の筋肉を動かした、ぎこちない顔だ。怒っているようにも、泣きたいようにも見える。
本当に、笑ったことがなかったのだ――と、改めて思い知って、瑛司は胸を突かれた。また一筋涙をこぼれたが、それもそのままに、精一杯の、最高の笑顔の亮一郎を胸に抱きしめた。
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