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と、現行犯逮捕された犯人が引き起こされ、パトカーに連行されるのを撮影するマスコミのフラッシュが光り始めた。瑛司はそれをちらりと見、どこにでもいそうな地味な風貌の中年男の目が、驚くほど無感情で冷徹であることに気付いた。まるでプロの殺し屋のように。
視線を戻すと、亮一郎もそれを見ていた。一瞬、視線が合う。
「……加賀谷さん」
名を呼ばれたのは瑛司だが、第五係全員の視線が亮一郎に集まる。
亮一郎はそれぞれを見渡しながら、一切表情を変えることなく、しかしはっきりと言った。
「警護員が勝手をできる期間はそう長くはありませんよ。これから警備課の改革は進んでいきます。銃撃事件は今後も増加していくでしょうが、我々はそれを上回る体制を敷きます。僕がアメリカで学んだあらゆる知識、装備、経験、ノウハウにより、鉄壁な警護の実現、そして」
亮一郎の視線が再び瑛司に戻った。亮一郎はひやりと硬質な黒い瞳に、一瞬、熱を閃かせる。
「現場のSPが誰ひとり盾となって傷付くことなく任務を遂行できるシステムを構築します」
誰ひとり、と言いながら、その高らかな宣言は、たったひとりに向けられていた。
「マジか……っ」
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