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卵を逆さにしたような顎の細い、なめらかな輪郭に、品よく高い鼻筋。高い眉尻まで優美に曲線を描いた眉と、上下の厚みが同じ、作り物のような唇。左寄りで分けた眉に掛かる前髪は子供のように艶がある。
なにより、その目。一重の瞼だが決して重そうではなく、目尻に向かって若干外向きに揃った睫毛がさらに目元を涼しげにしていた。澄んだ白目と、対照的な濃い黒の瞳。普通日本人でも虹彩の部分は茶色だが、青年の目は瞳孔と境がわからないほどに黒く、人形に入れられているガラス細工ではないかと不安になるほどの鮮烈なコントラストを誇っていた。
その目が、じっと瑛司を見据えていた。何事か言いたげな、それでいて何も見透かすことのできない眼差しだった。無表情で凝視され、瑛司は戸惑った。短くした固い髪から埃を払う振りをして、あわてて言葉を探す。
「あー、えっと……そう、あんた、すごいな! おかげで助かった! ありがとな!」
瑛司は極力愛想良い笑顔を作って、青年に向かって右手を差し出した。
「……」
青年は無言のまま瑛司の手を握り返した。長い指は節が立って、手のひらも固い。青年が銃器の使用に慣れている証拠だった。
予想外に強く握られる。握手なんて嫌がられるかと思っただけに、少し好感を持つ。だが、
「どうして銃を使わないんですか。この犯人は射殺されてもおかしくない状況でした。そしてそれはあなたの役目だった。人体を撃つのに抵抗があるというなら、その甘さはいずれ命取りになります。もっと厳しい姿勢で臨むべきです」
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