ヒーロー、誕生しちゃいました!

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「こんにちはぁ……」 放課後、しかも殆ど部活をしている人たちと変わらないくらいの遅くに、僕はハデサへついた。いつもより遅い時間だからか、お店にお客はいない。クラスメイトの心情は分からないでもないけど、それでももっと早くに僕を解放して欲しかったなぁ…… 「やや!そこに見えるは剣城君ではぁありませんか!ははぁ、さてはお姉さんの一件でぇ、もぉみぃくぅちゃぁにぃさぁれぇたぁなぁ?」 「エリさん、その歌舞伎だか狂言だか分からない言い回しやめましょう?どっちにしろ出来てないですから」 より目とか本当、エリさんの美人な顔台無しにするだけだし、すごく不完全。僕の言葉を受けて、不服そうにえー?と言ったエリさんは、改めて僕に向き直った。 「ま、いいや。それより昨日の一件よ!まずはお姉さん救えてよかったね!」 「あれ、怒ってないんですか?危ないことするなーとか」 「最初のうちは叱ろう!って思ってたよ?危ないことをヒーローとして不完全な状態でして欲しくはなかったからね!まぁでも、私も同じ立場だったらやっちゃうし、実際怪我なかったみたいだからオッケー!」 そう言ってサムズアップするエリさんに、少しホッとした。怒られなくて済むと言うのは、精神的負担が殆どかからなくなった僕でも気楽になれる。 「そしてもう1つ!こっちのがエリさん的に大事なことなんだけども……ヒーローの力、使ってみてどうだった?」 エリさんの目が、少しだけ鋭くなった……ような気がした。基本的にやや垂れ目なエリさんの顔だから、優しそうなイメージが拭えない、と言うのもあるのかもしれない。 「うーん……正直、たしかに全能感といいますか、それに近いものは不審者を捕まえているときはありましたけど、僕の特殊能力のおかげか、驕った気持ちは全く起きませんでした。高校に上がったばかりの子供の力が2倍になっても、まだまだ一般人の範疇にしか収まりませんし、たとえ今よりもっと強くなったとしても、家族を守るので精一杯になると思います」 そう言った僕の言葉を受け、エリさんは 「んー!合格!まぁヒーローリングに選ばれた人だし、人格に問題はないよね!」 と、笑顔でそう言った。言うだけならよかったのに。頭の上で丸とか使って欲しくなかった。
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