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「え、いや、もっとこう、正義感に溢れた人間の方がヒーローに向いているのでは?俺がこの力で世界を救うんだー的な」
「そんな訳ないじゃないの。だって、まっすぐな正義ほど壊れやすいものもないよ?あの時ああしてなければあれをやれてたらーなんて、まっすぐ借り物の力だけを信じて失敗した時の絶望感は計り知れないし、なによりそこから逆恨みなんてことになったら私も嫌だもんね」
なるほど、確かに人の2倍くらいの力を持ってるだけでイキってる奴は、人間的に大したことなさそうだ。逆恨みも十分にあり得るだろう。
「だから、剣城くん並みに適当にその力を使える人の方が、向いてるってわけ!と言うわけで今日はニューヒーローのハッピーバースデーって事で、ケーキを用意させていただきました!」
そう言ってカウンターの下からエリさんが取り出したのは、チョコレートのロールケーキ。多分、誕生日を祝う感じのやつではないと僕は思う。
でも、ケーキに罪はないのでありがたく頂く。うん、美味しい。ささっと出されたオレンジジュースもいい感じである。
「ハッピーバースデーフォーユー?」
「なんで疑問形なんですか?と言うかフォーユーて」
まぁ、送られた誕生日ではあるから、間違ってはいないけども……
「新たなるヒーローの誕生だよ?ちょっとくらいテンション上がってもいいじゃないの!」
いつもテンションの高いエリさんがさらにテンションを上げようとしてる。
「よっしゃ!今日はお姉さんのおごりだ!たくさん飲んで行っていいよ!いやコーヒーとか紅茶とかしか出せないけど!!」
「夜眠れなくなりそうなので、このオレンジジュースだけで大丈夫です」
「めちゃくちゃ冷たい!!」
いや、うん、僕的にそのテンションに乗り切れないというか、うーん……まぁ、いっか。
そんなこんなで、この千大に新たなヒーローが誕生した。
どの様な結末を迎えるのか、まだ誰も知らない。
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